子ども一人でも入れる食堂
要町の山手通りから一本入ったえびす通り。
この通りの歴史は古く、江戸時代の町割りがそのまま残っているという。
実際歩いてみると、路は細く曲がりくねり、かつての道しるべだった地蔵や庚申塚が点在する。
そんな住宅地の一角に、数年前まで開いていた小さなパン屋があった。
玄関先を使ってパンを売り、地域に愛されていたが、店主が亡くなり閉店してしまう。
しかし今も、毎週水曜日、ここはベーカリーになる。
そして毎月第一・第三水曜日には子ども食堂として近隣のたくさんの子供たちが訪れ賑わう。
家主の山田和夫さん。
パン屋を営業していたのが妻の和子さんだった。
当時からパンをただ作って売るだけでなく、地域の人のパン教室を開いたり、池袋で路上生活をする方々にパンを配ったりする地域活動をされていたそうだ。
その和子さんの意志を引き継ぎ、毎週水曜日に「あさやけベーカリー」という活動を始めたのが2011年のこと。
元路上生活者や障害者が集まってパンを焼き、それを路上生活者へ配る活動である。
その後、NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークと協働する形で自宅を改修し、地域の子どもやお母さんたちが月に2回集まってみんなで賑やかに食事できる「あさやけ子ども食堂」が2013年に開業する。
けん玉屋から子ども食堂へ
生まれてからずっとこの要町に住んでいるという山田さん。リタイア前は玩具業界で働いていた。
「東北の木工伝統職人のところへ行って戸をたたいて、'おじさん、これからはけん玉が売れる時代だよ。けん玉を作ろうよ'って。」
お椀やこけしなど、木をロクロで回転させながら削る技術を生かしたけん玉作りへと職人を誘った。
確かにその後、競技けん玉ブーム、YouTubeによる海外けん玉ブームが起き市場は拡大していった。
けん玉は、学童保育の場でも重宝され、玩具店より学校に納めることも多かったようだ。
玩具業界、学童保育そして子ども食堂。
「子ども」をキーワードとして山田さんの活動は繋がっている。
子どもに「安心・安全な食事」と「遊び場」を、お母さんに「息抜きできる時間を」
子ども食堂はまず玄関で食券を買う。子供100円、同伴者300円(大人のみの場合は子供優先)。
厨房ではたくさんのボランティアの皆さんが配膳してくれる。
膳を受け取ったら食堂、テラス、和室の好きな場所へ。
「ぜひ子供たちの近くで一緒に召し上がってください。」と、大人一人の私は勧められた。
食事が終わった子供は、2階のプレイスペースや図書室で遊ぶことができる。
プレイスペースは日テレの「24時間テレビ」の企画で一緒に作ったそうだ。
子ども食堂は17:30から19:00。 18:30を過ぎた頃には家の中は子どもで一杯だった。
要町子どもあさやけ食堂
豊島区要町1-39-4
第1・第3水曜日 17:30~19:00
子ども100円, 同伴者300円
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