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020.中野製菓

板橋で製造を続けるかりんとう工場

ここ板橋区には都内有数のかりんとうメーカーが2社もある。

坂下にある東京カリント、そして中丸町にある中野製菓だ。

東京カリントが工場を埼玉に移したのに対し、中野製菓は今も中丸町で製造を続ける板橋区の町工場である。


毎週水・土に行う「工場直売日」や月に一度行う「板橋のいっぴんデー」には近隣住民で賑わい、すっかり地域の日常に定着した風景となっている。

活気のあるその風景は、どこか魚市場のよう。





「実は実家は鶴見の魚屋だったんです。婿養子なんですよ。」

と中野万博さん。現在代表取締役を務める中野製菓の3代目である。

その言葉を聞いて、妙に合点が行ってしまった。







工場は重工業さながら

中野製菓は、静岡出身の初代・中野竹三郎が疎開先の北海道にて目にしたかりんとう屋台、その製法を教えてもらい昭和27年北区田端で創業した。かりんとう業界はのれん分けで成り立っていてそれぞれの交流も活発であり、そんな製造仲間からの誘いで昭和33年に現在の地へ移転した。

普段見学は受け付けていないようだが、特別に工場の中も見せてもらった。


原料を練る機械、その後暗室にて発酵させ、機械成形したものを4つの大釜で4度揚げする。

巨大な機械や縦横無尽に張り巡らされたパイプラインは、さながら重工業の工場を彷彿とさせる。

蜜をからめるための巨大な釜もある。



「かりんとうは揚げたてが一番旨い。」

と万博さん。そんな揚げたてを試食したり、購入したりできるのが毎週水・土の工場直売日だ。

以前は毎月28日のみ行っていたのを、万博さんの代になって増やした。

一般的にかりんとうの消費期限は3ヶ月あるところ、工場直売のものを1ヶ月としているのは、本当に美味しい状態で食べてもらいたいという中野製菓のこだわりだという。


3代目とアメカジと

万博さん自身、婿養子に来る前はなんとアパレルの業界で働いていた。

当時アメリカンカジュアルのVANが一世を風靡していた時代で、万博さんもそれに憧れてデザイナーに。当時の中野製菓社長の三女とそこで出会って婿入りし、この世界に入った。

はじめは製パン会社へ2年、大学の夜間科へ4年修行に出されたという。

転機は2003年。板橋区産業振興課から声がかかった「区民が選んだ板橋のいっぴん」への参加だ。

万博さんは直売日に揚げたてのかりんとうを提供しながら、その脇に「いっぴん」の投票用紙。

「うちは《板橋区民が選んだ》ではない。《板橋区民に選ばせた》板橋のいっぴんなんです。(笑)」

と万博さん、

「だからその分、板橋のいっぴんに対して本気で取り組み続けようと思った」

と続ける。月一度の「板橋のいっぴんデー」を立ち上げたのもそんな志からだ。



中野製菓の工場直売かりんとうは全品一袋108円。

いっぴんに選ばれた定番の黒かりん糖からピーナツかりん糖といった変わり種まで種類豊富。

個人的には白かりん糖の、ドーナツのようなレトロさが好み。



中野製菓株式会社

板橋区中丸町28-14

03-3955-5585


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