池袋モンパルナス跡を辿る緑道公園
全長1.7km 住民憩いの線状庭園
密集する住宅地の中に突如現れる煉瓦敷きの舗道。
両側には可愛らしい家々や瑞々しい植栽が続き様々な表情を見せてくれる。
ここはかつて豊島区、板橋区、北区、文京区の4区を流れ水道橋あたりで神田川へと合流していた、谷端川の名残。
この川沿いにバラックとして点在していた芸術家たちのアトリエ村が「池袋モンパルナス」。
現在は椎名町から要町を過ぎ熊野町まで続く全長1.7kmの長い公園になっている。
Topics. 欄干跡
緑道を横切る橋の欄干はここが川であった名残。
南緑道では計18箇所の橋があり、横切るたびに
周りの様子も少しずつ変わっていくのが感じられるはず。
熊野橋-他領橋-境井田橋-南橋-御嶽橋-中上橋-上ノ橋
-境橋-高松橋-東橋-北荒井橋-日ノ出橋-長崎橋
-丸山橋-霜田橋-羽黒橋-八幡橋-並木橋-宮下橋
是非、かつての川の面影を感じながら散策してみては。
粟島神社:谷端川の源流(千早〜椎名町)
谷端川を辿る旅は、源流の粟島神社(千早町)から。
川はここから椎名町までまっすぐ南へ流れていたが、この区間は緑道にはなっていない。
この最も川上にあったのが「つつじが丘アトリエ村」で現在も記念碑が建ち、芸術家が住む。
やがて「椎名町サンロード商店街」に差し掛かるが、この西側一帯は池袋モンパルナスでも最大の
「さくらが丘パルテノン」と呼ばれるアトリエ村だった。
羽黒橋:川端の名残と生活感(椎名町〜立教通り)
谷端川は現椎名町駅の向こう側で進路を北に変える。
緑道はこの線路手前側、西池商店街と交差した辺りから始まる。
ここから霜田橋までの間の川端にもかつては芸術家のアトリエが多数あったようだ。
羽黒橋は近くの羽黒神社に由来する。
橋を越えて右手にある「湯~ゆランドあずま」は旧屋号「東湯」の時代から60年近く続き、
今も地域の常連さんに愛される銭湯だ。
霜田橋:生まれ変わるレトロなマーケット
立教通りとの交差点が霜田橋。
向かって右手側に行くと立教大学の前を通り池袋駅西口へとたどり着く。
橋のたもとに建つ「西池マート」は、かつて複数の肉屋や八百屋が入るマーケットだったが長く閉鎖されていた。
だが2019年4月、クラフトビールのブルワリーとアートの拠点「NishiikeMart」として復活を遂げた。
橋を渡ったすぐ近くには「エーキドーパン」というレトロな看板の建物があるがやはり閉鎖されている。かつてはこうした商店が集まっていた場所なのかもしれない。
長崎橋:親水公園と季節の花(要町)
要町交差点が長崎橋。
ここで緑道は大きく分断されるが、実は北へと続いている。
緑道にはこの交差点を挟んで2箇所の親水公園がある。
南側は空に開けた明るい広場。
交差点手前、池袋聖公会の正面には藤棚があり4月下旬頃見頃を迎える。
北側は木立に囲まれた落ち着いた広場で、かつては野菜洗い場があったそうだ。
バラのトンネルがあり、5月上旬頃見頃を迎える。
北新井橋:緑道の急カーブ地点
緑道はここでほぼ直角にカーブし、並走する山手通りから少し離れて行く。
この橋にたもとには「紳士服マツイ」という洋品店屋があったが閉店し、
現在はその看板を残した「スパイス酒場KAJANA」として復活している。
東橋~高松橋:親しみやすい公園と街区
東橋から高松橋の間は、南緑道では唯一の児童公園。
周囲の住宅から段差の無い代わりに、中央が段葛となり植込と遊具が置かれ、
路面もソフト舗装と人工芝で親しみやすい雰囲気だ。
子供や猫が遊ぶ風景がよく見られる。
高松橋〜境橋:区境の小さな町工場たち
高松橋を過ぎると左側に長い壁が見えてくる。
「毎日香」でお馴染み、日本香堂の工場。
この辺りから低層の住宅が増え、ちらほらと町工場が点在してくる。
境橋に到達。青い三角屋根の「佐藤プラスチック」がここのシンボル。
この先、緑道は豊島区と板橋区の区境を進む。
右手側が豊島区、左手側が板橋区。
この交差点の右側突き当たりには、生涯学習施設になった廃校施設「みらい館大明」がある。
左側にはいくつかの工務店と町工場が並び、「11-1 Studio」はこの一角にある。
中上橋:板橋アトリエ村と商店街
坂下通り商店街と交差する中上橋。
この手前、右手側には「Villa Ikebukuro Altair」という黒壁のゲストハウスがあり、その向かいにあたる黒壁の建物が「たちばな寿司」という昭和41年創業の老舗寿司屋。
そしてこの後ろ側が、かつてのアトリエ街「ひかりが丘アトリエ村」「みどりが丘アトリエ村」があった一帯だ。
池袋モンパルナスでは唯一板橋区に属し、現在は何の痕跡もなければ記念碑もない。
緑道から下りてこの路地裏に入ってみると、アトリエ村だった頃の面影を少し感じられる。
Topics. 舗装と植栽
椎名町-要町-高松-熊野町 1.7km 4地域と続く中で、
微妙な表情の変化を添える舗装と植栽。
方形レンガ、カラフルなインターロッキング、石の洗い出し。
植栽腰壁も切石によるもの、レンガによるもの、
レンガで舗装からスカート状に立ち上げられたものなど。
細かい部分ですが路の印象を決定づけている部分なので、
たまに意識してみると面白いかも。
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