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015.鳥元本店

更新日:2019年10月7日

若大将へ継がれた老舗鶏肉店

坂下通りの終点は、谷端川緑道の橋のたもと。

周りがシャッター商店になってしまった中、ポツンと一軒頑張っている商店がある。




鳥元商店は昭和10年(1939年)、池袋駅北口の闇市から始まった。初代の樋口元吉氏が新潟の農家から上京し立ち上げたそうだ。


この坂下通りに店舗を開いたのは昭和24年(1949年)のこと。

有限会社化され、練馬や江古田で兄弟が営業するチェーン店舗と合わせて最大20数店舗持っていた時期もあった。





料亭にも卸された大山どり

この店のイチ押しは何と言っても大山どり。

バランスの良い脂乗りとジューシーさを持つ、鳥取の銘柄鶏で、都内でもデパートやちょっと良い居酒屋などに行くとお目にかかれる。

その大山どりを東京で最初に納入販売し、大山どりが東京進出するための営業拠点を要町に誘致したのが、ここの初代元吉だった(という話を先代からよく聞かされた)とのこと。

当時は坂下通り商店街が栄えていただけでなく、坂下通りと並行する三業通りに料亭や小料理屋が軒を連ね、そうしたところに質の良い鶏肉を卸すにもこの場所は理にかなっていたようだ。


熟成が命の牛肉や豚肉に対して、鶏肉は鮮度が命。

前日にシメられた鶏は、産地鳥取から直送で翌朝店に届く。

そして職人さんが朝から下ごしらえし、その日のうちに精肉や惣菜として店頭に並ぶ。



つながれたバトンと、これから

現在の店主は、3代目の巧さん。

この商店街でおそらく一番若い店主だ。

父で2代目の元治さんから「三年は人に使われて来い。それからじゃないと継がせられない。」と厳命を受け、大学で経営を学び、3年外で勤めた。

「自分の育った街に残りたかったし、自分以外誰もやる人がいない。何よりそうしないと両親が楽できない。」

店を継いだのは25歳の時。

父は他界してしまったものの、母と、当時から働いている熟練の職人さんと3人で店を切り盛りしている。



この商店街で続く可能性の高い店になるだろうと思い、商店街の未来について意見を聞いた。

巧さんは、「商店街衰退の原因が全て大型店舗やコンビニの進出の影響とは思わない。」と語る。

全く逆のことにも感じるが、巧さんはこう続ける。

「栄えていて続いている商店街は、どこも大型店やコンビニと共存している。まず人の流れがある、そしてそこにこだわりの品がある。そうすればそこで買ってくれる人も多い。」

確かに、腑に落ちた。


とは言え、今からこの商店街に大型店を引っ張ってくるのも至難の業。

大型店なくして人の流れを取り戻す。なかなか難しい宿題だ。


今回のおみやげは、店頭で売っている焼鳥4種。ネギ間、つくね、レバー、上肉、いずれも一串90円。

そして贅沢なことに、こちらも全て大山どりを使っている。

タレをつけてさっと強火で焼いた庶民的なB級感の中に、バランスの良い脂乗りの上品な高級感がさりげなく感じられる。まさにこだわりの逸品だ。


鳥元本店

豊島区池袋3-39-3

9:00-19:30(日・祝休み)

●大山どり精肉(100gあたり)

手羽先/手羽元 100円, ムネ肉 100円, モモ肉 155円, ささみ 175円等

●惣菜

からあげ 210円(パック)/140円(100g), もも焼き 400円, 焼鳥各種 90円等

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